MACROECONOMICS — ECONOMIC GROWTH
定常状態は求められても、
成長の意味を取り違える。
ソローモデルでは「所得水準が高くなる」と「成長率が永久に高くなる」は別です。資本が増える力と薄まる力の差を追い、移行と定常状態を分けます。
FOUR QUESTIONS
グラフを描く前に、4つの量を決める。
状態変数
一人当たり資本kが、時間とともにどう変わるかを追います。
生産
一人当たり生産y=f(k)。通常は限界生産力逓減を仮定します。
資本を増やす力
生産のうち貯蓄され、投資になるsf(k)です。
資本を薄める力
減耗δk、人口増加があれば(n+δ)kなどです。
QUICK DIAGNOSIS
3問で、水準と成長率を分けられるか確認する。
kが定常状態より小さい
sf(k)>δkなら、次期のkは増える?
答えと診断
増えます。純投資が正なので資本が蓄積され、右方向へ動きます。
定常状態の投資
Δk=0なら、投資も0?
答えと診断
いいえ。粗投資sf(k)は減耗δkを補うため正です。0なのは両者の差である純投資です。
貯蓄率の上昇
技術進歩なしで、一人当たり成長率を永久に上げる?
答えと診断
上げません。新しい定常状態までの移行中は成長しますが、到達後の一人当たり成長率は再び0です。
CAPITAL ACCUMULATION
次の期へ持ち越される資本を、一つの式で追う。
sf(k) > δk純投資が正。kは増加し、右へ動く。
sf(k) < δk純投資が負。kは減少し、左へ動く。
人口増加率nを含む授業では、右辺の資本を薄める項が(n+δ)kになります。技術進歩gも含めれば(n+g+δ)kとする近似的な離散時間表現など、授業の設定を確認します。
READ THE GRAPH
交点だけでなく、交点の左右を見る。
WORKED EXAMPLE
√kなら、定常状態を手計算で検算できる。
生産関数y=√k、貯蓄率s=0.25、減耗率δ=0.05、人口増加なしとします。
0.25√k = 0.05k。
k>0として√kで割ると0.25=0.05√k。√k=5なのでk*=25。
y*=√25=5。c*=(1−s)y*=0.75×5=3.75。
投資は0.25×5=1.25、減耗は0.05×25=1.25。差は0です。
A HIGHER SAVING RATE
高い貯蓄率は、水準を上げるが永久成長を作らない。
貯蓄率だけをs=0.36へ上げるとします。
現在のkでは投資が減耗を上回る。
限界生産力逓減で成長は次第に弱まる。
技術進歩なしでは一人当たり成長は止まる。
この数値例では定常状態の消費も増えますが、貯蓄率を上げれば常に消費が増えるわけではありません。黄金律の資本水準を超えると、過剰蓄積により定常消費は下がり得ます。
COMMON ERRORS
同じ「増える」でも、期間と変数が違う。
定常状態なら投資が0
粗投資は減耗補填のため正。0なのは純投資sf(k)−δkです。
貯蓄率↑で永久に高成長
基本モデルでは移行中だけ。一人当たり長期成長には技術進歩が必要です。
総量と一人当たりを混ぜる
人口が増えれば総Yは増えても、一人当たりyは定常の場合があります。
交点だけを求める
k*の左右でΔkの符号を確認し、安定性と移行方向を説明します。
EXAM CHECKLIST
成長モデルは、この順で読み分ける。
- 総量か、一人当たりか、有効労働当たりかを確認する
- 生産関数と限界生産力逓減の仮定を確認する
- 資本蓄積式にs、δ、n、gを正しく入れる
- Δk=0から定常状態を求める
- 交点の左右でΔkの符号を確認する
- 水準効果、移行中の成長、長期成長率を分ける
WHEN YOUR MODEL ADDS POPULATION OR TECHNOLOGY
授業の記号に合わせて、どの単位で定常かを整理します。
人口成長、技術進歩、黄金律、収束まで入ると、kの定義と資本を薄める項が変わります。講義資料の時間表記と生産関数に合わせ、グラフと式を同じ単位にそろえます。
経済成長論の資料を相談するSOURCES
内容確認に使用した一次資料
- 学習院大学大学院 経済学研究科 過去問題・解答 — ソローモデル、定常状態、貯蓄率に関する公式出題資料。
- MIT OpenCourseWare: Principles of Macroeconomics — 経済成長とソローモデルを含む公式教材。